骨粗しょう症
骨粗しょう症
骨粗しょう症治療の経験豊富な医師が患者さんに最適な治療を提案します。
大学病院にも導入されている最新の骨密度検査機器を使って検査を行います。
骨は18歳頃をピークに少しずつ減っていき、女性は50歳、男性でも60歳を過ぎるとその減少割合も大きくなってきます。まずは、骨密度が低下する前の40歳代に一度測定して、その後の骨健康のバロメーターにしましょう。ご自分の骨の状態を知ることが、健康寿命を延ばす第一歩となります。
骨粗しょう症とは、「骨が脆くなる病気」です。加齢などにより骨の量が減少したり、骨の質が悪くなってしまうことで骨が折れ易くなってしまいます。
骨折や転倒は要介護、寝たきりの原因の代表であり、本人のみではなく御家族の負担にもつながることから、いかに骨折を予防するかは社会的にも重要な課題となっています。
日本にはおよそ1,300万人の骨粗しょう症患者がいると推計されています。高齢女性の2人に1人、高齢男性の5〜6人に1人と言われており、その患者数は依然増加しているのが現状です。
骨粗しょう症は自覚症状がほとんどありません。そのため病気であると気が付かないうちに病状が進行してしまい、骨折してはじめて骨粗しょう症であることに気付くことも多いです。
骨折後に骨粗しょう症と診断されるケースが9割を占めており、骨折が起きる前に治療を開始するのが非常に重要な病気と言えます。
骨粗しょう症の方が骨折しやすい部位は背骨・太ももの付け根・腕の付け根・手首の骨です。骨粗しょう症による骨折は、寝たきりの原因となりやすく、死亡リスクを高めてしまうことが分かっており、骨折部位によってはがんよりも生存率が低いと言われています。
骨折後の5年間で背骨の骨折では約40%、太ももの付け根の骨折では約50%が死亡するとの衝撃的な報告もあります。骨粗しょう症による骨折は日常生活動作や生活の質を損なうのみならず、寿命をも短くしてしまうのです。
ヒトの骨は、一度出来上がるとそのまま変わらない様に思われがちです。しかし実際は骨形成(骨をつくること)と骨吸収(骨をこわすこと)を同時に行いながら、うまくバランスを取って健康な骨を維持しています。
このバランスが崩れて、新しい骨がつくられる骨形成より、古くなった骨が分解される骨吸収の働きが上回ってしまうと骨量が減少していくことになります。
主な原因は加齢と女性の閉経です。それに加えて、ステロイド薬やホルモン薬などの副作用による薬剤性骨粗しょう症や生活習慣病(糖尿病、慢性腎臓病、動脈硬化、慢性閉塞性肺疾患など)も骨粗しょう症のリスクとなることが明らかになっています。
また甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能亢進症、ビタミンD不足・欠乏などのホルモンバランスの異常による続発性骨粗しょう症もあり、適切な診断が必要です。
骨密度は背骨(腰椎)と太ももの付け根(大腿骨)で測定しましょう!
『骨粗しょう症ガイドライン』ではより精度が高い腰椎と大腿骨での測定が推奨されています。当院では正しく骨粗しょう症を診断し、必要な治療を行うために腰椎と大腿骨で検査を行います。
大学病院にも導入されている最新の骨密度機器を使ってDEXA法(Dual-energy X-ray absorptiometry)という方法で検査を行います。
DEXA法は微量な2種類のX線を照射して骨密度を測定する検査法で、従来の検査と比べてより精度が高く、日本のみならず世界のガイドラインで推奨されている検査法です。
放射線を用いた検査ですが被曝はレントゲン検査の20分の1以下で無視できるレベルです。ベッドに寝ていただくだけで痛みなどを全く伴わない検査なのでご安心ください。(検査時間も5〜10分程度です。)
背骨(腰椎、胸椎)のレントゲンを撮り、古い骨折がないかを調べます。
古い背骨の骨折があると将来の骨折のリスクは約4倍になると言われていますのでより強力な骨粗しょう症治療が必要と言えます。
骨粗しょう症には様々なタイプがあります。そのタイプによって治療の方法も変わってきます。血液検査や尿検査で骨形成マーカー(骨を作る能力)と骨吸収マーカー(骨を破壊する能力)を測定することにより、あなたの骨粗しょう症のタイプを詳細に調べることができます。
検査結果は適切な治療薬選択につながり、さらに継時的にデータを観察することで治療効果の判定にも役立ちます。
骨は運動して負荷をかけることで徐々に丈夫になっていきます。さらに筋力アップにより体を支える機能が上昇し転倒防止にも繋がります。十分なトレーニングを積んだ宇宙飛行士が重力のかからない宇宙空間の生活で骨量が1日に2%減少したという有名な話があります。
普段から適度な運動を行い、負荷をかけることが重要であることが分かります。運動療法は骨粗しょう症治療に必要不可欠です。激しく運動をする必要はなく、息がはずむ程度の有酸素運動で十分です。
ウォーキングであれば1日30分程度、できれば週3回以上、継続的に行ってください。ヨガ、エアロビクス、ゲートボール、卓球なども効果的です。当院では理学療法士による専門の運動療法の指導なども行っています。
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどを多く含む食品を摂取することが大切です。
1日に牛乳コップ3杯分のカルシウムが必要とされています。骨を作る材料となるため非常に重要です。(多く含む食材:牛乳、チーズ、干しエビ、しらす、豆腐、納豆 など)
高齢になると日光を浴びても体内で生成出来なくなります。経口摂取が必要ですが量が必要になるためサプリや薬での補充が勧められます。(多く含む食材:キクラゲ、サケ、椎茸、煮干し、いわし など)
骨の生成に重要です。骨粗しょう症を含め生活習慣病は、食生活の偏りが大きな原因となります。バランスの良い食事が予防の基本となります。(多く含む食材:卵、納豆、ほうれん草、しそ、抹茶、春菊 など)
特にカルシウムに関しては摂取不足が厚生労働省の栄養調査でも指摘されており、意識して摂取する必要があると言われています。
ビタミンDの活性化には日光浴が必要となります。目安として顔や手を出した状態で夏なら木陰で30分、冬なら1時間程度、外に出て日光浴をしましょう。
骨粗しょう症と診断されたら薬物治療が必要となります。骨粗しょう症のタイプによって薬を使い分けます。また各薬剤にも注射や内服など違いがありますので、可能な限り希望に沿う治療法選択を心掛けています。
当院では薬物療法をはじめ、運動療法・栄養療法を合わせて受けられる治療体制を整えて骨粗しょう症治療をトータルサポートいたします。
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版より引用