- Grade0:正常(大腿骨と脛骨の隙間は正常、関節軟骨はすり減っていない状態)
- Grade1:関節裂隙狭小のないわずかの骨棘形成、または軟骨下骨硬化
- Grade2:関節裂隙狭小(25%以下)あるも骨変化なし
- Grade3:関節狭小(50%~75%)と骨棘形成、骨硬化像
- Grade4:骨変化が著しく、関節裂隙狭小(75%以上)を伴う
新しいひざ関節治療
新しいひざ関節治療
当院ではあらゆる保存療法を徹底的に行い、「ひざ関節寿命」を延ばすお手伝いをします。適切な治療を行うためには、ひざの痛みの原因を正確に診断する必要があります。当院ではX線検査に加えて最新のMRI機器を完備していますのでこれらの機器を活用してより詳細に病状を把握することができます。ご自身のひざの状態をご理解いただいた上でより良い治療法を提案します。
経年的にひざ関節のクッションである軟骨や 半月板が擦り減り、骨が変形する病気です。
本邦のおける治療が必要な患者数は1,000万人、自覚症状のない人を含めると3,000万人、実に全人口の3人に1人が変形性ひざ関節症と言われています。また、女性の発症率が高く、男性と比べて1.5〜2倍かかりやすいと考えられています。
加齢・体重増加・筋肉の衰えなどが考えられます。関節内で、軟膏の摩耗、半月板の変性や断裂、骨の変性や変形が徐々に生じ、慢性的な関節炎を起こします。ただし、外傷など明らかな原因があって発症する場合は二次性変形性ひざ関節症と呼ばれ、ひざ関節内骨折、靱帯損傷、化膿性ひざ関節炎、痛風などが原因となることがあります。
初期は、階段の昇り降りや歩き始めで痛みを感じるようになります。慢性炎症の影響で関節液が過剰になり、関節水腫(水が溜まる)になることもあります。進行すると、関節変形が強くなり、関節可動域が低下し、歩行など日常生活に大きな支障が出てきます。以下に、主な発症サインを挙げています。一つでも当てはまる項目があれば、変形性ひざ関節症のうたがいがあります。
初期は、軟骨が表面から擦り減り始めて、レントゲンでは隙間が狭くなり始めます。(軟骨はレントゲンでうつらないため、骨と骨の隙間の幅で擦り減り具合を判断します。)
中期では、内側または外側の半月板も擦り減ってきます。レントゲン上の隙間がほとんど消失してきます。末期では、軟骨や半月板が完全に壊れて、骨自体(軟骨下骨)も変形を来してきます。Grade0が正常膝関節で、Gradeが上がるにつれて重症度が増します。
筋力増強トレーニング,エアロビックエクササイズ,陸上運動,水中運動,太極拳などにより、鎮痛,機能改善,日常生活動作などの改善効果が得られます。
いわゆる痛み止めです。飲み薬・貼り薬・スプレー・塗り薬など様々な薬剤があります。あくまでも痛みに対する対処法であり、飲み薬によっては胃腸や腎臓などに悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
専用の医療機器を用いて温熱療法などにより、疼痛の緩和を図ります。
脚のアライメントを矯正する足底板や膝をサポートする装具などを用いて治療します。
消炎鎮痛剤と並んで多く行われているのがヒアルロン酸注射療法です。膝関節腔内のヒアルロン酸(関節液と類似した粘稠性のある液体)を潤滑油のように補充することで、関節腔内の軟骨の擦り減りを低減します。定期的な注入が必要です。末期の変形性ひざ関節症に対しては十分な効果は得られにくく、痛みを軽減できても、軟骨の修復作用はありません。
現在の治療の中心となっているのはこれらの消炎鎮痛剤やリハビリ、関節腔内注射などの保存的治療です。これを「第1の治療」とすれば、改善しない場合に行う、骨切り術や人工膝関節置換術などの手術治療は「第2の治療」と言えます。
しかし、さまざまな事情が原因で手術を受けられない、もしくは受けたくない方がおられます。つまり、第1の治療で改善しないが、第2の治療が受けられない(受けたくない)方にはどうすればいいのか。この問題を解決し得る「第3の治療」が近年世界的に行われている「再生医療」と2023年より新規保険適応となった「ラジオ波治療」という最新の治療法です。実際に投薬やヒアルロン酸注射、装具療法、リハビリでは症状の改善が得られない患者さん、変形の進行が止められない患者さんは、人工関節の耐久性を考慮して人工関節手術をするのにちょうど良いと考えられる「70歳前後になるのを待つしかない」のが現状でした。また手術を希望しない患者さんは良くなる方法を探して、いろいろなクリニックを受診しますが、他の良い治療法が存在しないため、どこに行っても痛みが良くならない現状を受けいれるしかありませんでした。「ラジオ波治療」と「再生医療」はそのような患者さんの期待に応え得る治療法として注目されています。
病状が進んだひざ関節において、長期に安定した成績が得られる標準的治療法は人工膝関節全置換術(TKA: toal knee arthroplasty)または単顆置換術(UKA: unicompartmental knee arhroplasty)です。近年では手術をより正確に行うための技術としてロボット支援人工膝関節全置換術が普及してきています。
また、若い年代の変形性ひざ関節症に対しては関節のアライメントを保つために骨切り術(脛骨、大腿骨)が施行されることもあります。
手術には、2〜4週間の入院期間を要し、術後にリハビリも必要です。手術合併症(血栓症・インプラント感染など)のリスクもあります。また人工関節は脱臼・ゆるみ・摩耗・感染などを生じる可能性もあります。人工関節の耐用年数は、20年以上と言われています。